産前・産後母子支援センター こももティエを視察して考える

厚生労働省の発表によると、令和2年度の児童虐待死、57人。
そのうち、0歳が28人で全体の半分。そのうち、0か月は11人。さらに、0日が9人。この世に誕生して、1日も生きられずに「殺された」。
そして、その虐待の加害者は、実母が55.9%。
 
これを、母親だけの責任にしていいのだろうか。
 
性教育の脆弱さから起こる若者の妊娠。
貧困や経済的な理由が背景にある妊娠。
性暴力の被害で起こる妊娠。
いったい、誰が悪いのか?
 
そんなことを産前・産後母子支援センター こももティエをインターンと一緒に視察して改めて考えた。
 
0歳0か月0日死亡を0にするために、こももティエは全国に先駆け、多くの予期せぬ若年妊婦の相談に応じている。
福岡に限らず、全国から連絡がくる。
それもそのはず。同様の施設は、全国に数カ所しかない。
 
予期せぬ妊娠は、ともすれば「自己責任」と「自助」で片付けられる風潮があるが、現場は必死で小さな命を守ろうとしている。
母親もまた、福祉的な課題をもったまま社会から置き去りにされていた人たちが少なくない。
 
困難を抱えた妊婦だけでなく、普通の母親だって、同じこと。
孤独のなかでの子育ては、悲劇を生む。
そこにはジェンダーの問題が大きく影響している。
 
福祉の現場に頼るだけでなく、ジェンダー平等や人権の視点で社会全体への啓発・性教育をしていかないと、いつまでたっても、女性たちが独りで命の責任を負うことになる。