ふくふくプラザ「引揚港・博多」の常設展示をご存じですか
福岡市中央区荒戸の福大若葉高校(旧九州女子高校)の近くに、福岡市市民福祉プラザ(ふくふくプラザ)という施設があります。大きなホールもあり、様々なイベントで利用された方もいらっしゃると思います。
そのホールの入り口近くに、「引揚港・博多」の常設展示があります。
博多港は戦後、139万人の日本人引揚者を受け入れ、朝鮮半島や中国の人々50万人を故国へ送り出した日本最大の引揚港でした。
「引揚港・博多」の常設展示は、悲惨な戦争体験や引き揚げの歴史を次の世代に引き継ぐべき場所ではありますが、常設展示が始まってこの10年間、一度も資料の入れ替えも行われず、来場者も減少しています。
また、6月19日の福岡大空襲の日に開催される「戦没者合同追悼式」も当事者や遺族の高齢化や家族の離散とともに次第に参加者が減少しています。
このままであれば、戦争の悲惨さを引き継ぐべき機会が次第に失われ、風化していきます。
そのようななか、市民グループを中心に31,146筆の署名が集められ、このたび、「平和資料館の設置について」の請願が議会に提出されました。
私たちの世代は、まだ戦争の爪痕を近くで感じながら生きてきた世代です。
私の実家の裏庭には防空壕があります。
当時まだ子どもだった父は、中国からの引揚者の1人です。
当事者や遺族の方の中には、あまりに辛すぎる体験を語りたくない、あるいは幼かったので記憶があいまいなまま語ることができない方もいらっしゃると思います。
でも、だからこそ、このような体験を引き継ぐことを個人の問題にせずに、社会全体で引き受け、引き継ぐことが必要です。
そのための平和資料館の設置は、当事者や遺族の高齢化を考えるともう待てない段階に来ていると思っています。
本日の請願審査では、私たちの会派は、採択すべきであると表明しましたが、意見が分かれ、継続審議となりました。
そのなかでも今、できることを検討してもらおうと、資料のデジタル化や既存施設での常設展示を要望しています。
継続審議ですので、議論はまだ終わっていません。私たちは、二度と繰り返してはならない惨禍を次の世代に伝える最後の世代です。引き続き、設置に向けて取り組みを進めていきます。



